着る服に愛着を・・・ - PALAVA japan

着る服に愛着を・・・

子ども服から始まった服作り。小さな町に育った小さなブランド、パラバの服は、全てがブライオニー・リチャードソンによるイラストをベースにプリント生地やカーディガンの刺繍となって作られています。でもパラバのようなスモールブランドが、オリジナルテキスタイルでコレクションを展開するのは容易なことではありません。

パラバの創設者であり、デザイナーでもあるブライオニーが、自分のイラストをプリント生地にする、独自の服作りに込める思いを語ってくれました。

パラバの服作りの現場をちょっと覗けるようなお話しです。

 

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この画像のプリント「ロールアップ!ロールアップ!」は、PALAVAがPOPPYという別のブランド名だった初期の頃のものです。私にはテキスタイルやファッションに関する知識も経験もなかったけれど、絵を描くのが大好きだったので、それを活かしたプリントの服を作りたいと思ったのです。

 

昔から、そして今も、私は子どもの頃によく読んでいた物語の記憶が常に頭の中にあります。私達家族の隣に住んでいた祖母は、私達が寝る時間になる少し前になると、リビングルームの暖炉の前で”ぞうのババール”や”猫のオーランド”などをよく読んでくれました。母は自分が子供の頃に読んだ”ミリー・モリー・マンデー”のお話しと、そして勿論たくさんのベアトリクス・ポター(ピーターラビットの作者)の本を勧めてくれました。

 

私がこのビジネスを始めた頃(約10年前)、衣類業界は”使い捨て”の方向にありました。特に子供服は品質が粗悪だったり、着せる側も6ヶ月くらいでサイズが合わなくなったらそれでおしまいだったり、、、。私は、もっと良い服、もっと、着る人にとって何か意味のあるものを作りたいと思ってました。

 

この「ロールアップ!ロールアップ!」のプリント生地を作った頃の私は、子供服だけを作ってました。(PALAVAの前身である「Poppy」というブランド名で)両親が販売していた子供服のパターンを参考にして、子供達が愛着を持てるような服を作りたいと思い、私自身が子供の頃に大好きだった絵本の世界を描いたガールズドレスを作り始めました。

 

私の両親は、彼らの友人だったイヴォンヌというアーチストと共にガールズドレスを作っていました。その鮮やかな裾プリント遣いにもインスパイアされて始まった私の子供服作りは、ポピーという名の女の子と犬のフレッドを主役にして、私がイラストに描いた物語がベースになりました。そして季節ごとに新たに始まるポピーとフレッドの冒険物語が裾に広がるプリントで展開されていく、そんなガールズドレスが出来上がったのです。

 

フレッドとポピー

今でも、PALAVAのコレクションにはそれぞれにストーリーがあります。そしてその中にはいつもひとつかふたつ、ボーダープリント(裾にぐるりと広がるプリント)のドレスやスカートが含まれています。

 

私が服作りを始めた頃、生地にプリントして服地を作る為にロータリー印刷という技法を使ってました。円筒状のスクリーンに合わせるため、プリントするためのイラストを64cmでリピートするように描かなければなりませんでした。コンピューターで画像処理できるようになる以前、両親が子ども服を作ってた頃は、原画をこのサイズに合わせるために何度も何度もコピー機で縮小・拡大を繰り返してたのをよく覚えています。

 

私も何度も生地印刷の業者を訪ね、私のイラストが期待通りの色や仕上がりになる様子を、祈る思いで見守ってました。生地が大きなロータリー機でプリントされる流れは、スクリーン印刷にも似ています。印刷機の動きは速く、毎秒約1メートルの生地がプリントされます。なので、例えば目の前で仕上がっていくプリントに不具合などあっても、それを発見できる頃には既に35メートルもその不良生地が印刷されてしまってることもあります。

 

幸いなことに、印刷技術者はみんな熟練の職人さん達。どこか不具合でもあれば素早くそれを見つけてくれます。そんな生地印刷の工程を自分の目で見るのはいつもワクワクしましたが、これはコストの高い技法であったため、当時の私は一つのプリントに使える色数を限定しなければならず、シーズン毎にプリントできるイラストも1種類に絞らなければなりませんでした。なのでどんなに頑張ってもその1種類のプリントを色違いで作る程度しかできず、思うような(もっと大きなブランドのような)コレクションを展開することはできませんでした。

 

でもそれは数年前までの話し。今はデジタルプリントで生地を作ることができます。昔ながらのロータリー印刷のような、ワクワクする工程ではないけれど、リピートのサイズを気にすることなく、色数も好きなだけ使えて、一つのコレクションに様々なプリントを展開することができるようになりました。

 

 

こうやってブランドを始めた頃のことを振り返ると、長い道のりを経て今のPALAVAの在り方に辿り着いたのだなとつくづく思います。現在では子供服よりレディース展開の方が大きくなっていますが、私の服作りへの想いは、子供服だけを作り始めた頃からずっと変わっていません。

 

今も、私達は日々身に纏う衣服に愛着を持つべきで、

すぐに飽きて着なくなったり、

廃棄したりするものではないと信じています。

 

PALAVAは、いつもこのポリシーを抱いて、長く長く着てもらえる服を作ることを目指して、その為にベストを尽くしています。

服が持つべき本質とストーリーが重なる服作り、それがPALAVAなのです。

 

 Love, Bryony x 

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